休職と復職について

 2022年の厚生労働省の「労働安全衛生調査」によると、2021年の労働者の中で、メンタルヘルスの問題を理由に1か月以上休職していた人の割合は10.6%となっています。メンタルヘルスの問題が大きく周知されるようになり、多くの職場で休職制度や体制を取られていても、年々増加傾向にあるといわれています。

 私の相談室でも、「休職をすべきかどうか」、「休職中なにをしたらよいのか」、「復職が不安だけれどどうしたらよいか」など様々なご相談をお受けすることがあります。もちろん、それぞれに「正解」が存在しているわけではありませんので、個別の事情を鑑みて、できるだけやりやすい方向で対処をしていくお手伝いができるように心がけています。ただその中でも、私が共通して皆さんにお伝えしていることがあります。

■「休職をすべきかどうか」と悩まれている時には、休職をするメリットとデメリット、休職をしないメリットとデメリットを一緒に話し合っていきます。

■「休職中なにをしたらよいのか」については、 何をどれくらいやったら疲れるのか、その疲れはどんな風に休んだらどれくらいの時間で回復するのか、などご自身のペースを確認する作業をすることを提案しています。

■「復職に向けての不安」については、復職後、職場でどのようなサポートがあったら安心か(大抵は心配を率直に伝えられる場所の確保と、具体的な不安の対処)について話し合っていきます。

 「メンタルヘルスの問題による休職」は、業務上の過度なストレスだけではなく、ワークライフバランス、身体的な不調、育児や介護、事件や災害のご経験、家族関係、など業務以外にも複合的な要因が考えられます。「復職」について考える時には、メンタルヘルスの問題の「原因」を追究するのではなく、どちらかというと、上記のような「具体的な解決策」に重点を置くことが良いかと考えています。 

*明確なハラスメント等の組織の安全配慮義務の怠慢事案は別です。

投稿者プロフィール

森近三智恵
森近三智恵