AIとの距離感について

 もはやAI(人工知能)はあらゆる場面で人間の生活とともにあります。推論、判断、問題解決、学習、認識など目覚ましい発展をとげています。今やAIに悩みを相談できるほどです。

 一方でそれらを「怖い」と思っている方もたくさんいることも事実です。「怖い」のには、様々な理由があると思いますが、その一つには「侵襲性(しんしゅうせい)の高さ」があると思います。心理学での「侵襲性」とは、「現実を検討する自我を保つ程度」のことです。自我は、生きていく上で「自分」と「他者や外界」と線引きして、自分を自分として認識し、コントロールする大切な機能です。

 もし、不安になったり、恐怖を感じてしまっている方は、「侵襲性が高くなっている」状況かもしれません。人間と違って、AIは私たちが電源を切ることができます。いったん電源を切って、自分の周りの景色を見てみてください。空模様や鳥の声や風の音などに意識を向け、自分が安全な場所にいることを確認してください。そして生身の人間と話しをしてみてください。自分自身がAIとの距離を(あるいは活用方法を)コントロールできることを確認できると思います。

 AIは、そこに存在しているようで存在していない、存在していないようで存在している、という心理的に曖昧な対象になりやすいからこそ、「侵襲性」が高くなる傾向があります。AIとどう共存していくか、どう区別していくか、どう自分自身の現実を守っていくか、考えていけたらと思います。

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森近三智恵
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